つれづれなるさっちII

俳人 井上さちの日々 第一句集「巴里は未だ」(文學の森)

「第一回大人ための句集を作ろう!コンテスト」の選考結果は?!








今日は俳句マガジン「100年俳句計画」4月号が届きました。

今月の特集は「第一回大人ための句集を作ろう!コンテスト」の最優秀賞の発表です。

付録はなんとその最優秀作品の句集なのです。





8つのノミネート作品の中から栄えある最優秀賞を受賞したのは



牛後さんの「根雪と記す」でした!!!





 




牛後さん、本当におめでとうございます。

どっしりと読み応えのある作品でした。




ノミネート8作品、それぞれに個性的で魅力がありました。

私、さちは持ち点2点のうち、

「春帽子」に1点、

「根雪と記す」に1点をつけました。

以下、大変僭越ではありますが今回の私の選評です。






02  
春帽子  
1点
わかりやすい言葉と、てらいのない素直な表現が、すとんと読者の胸におさまります。そしてとても心地がよいのです。どの作品にも作者の優しい眼差しを感じます。それらの作品は一見平凡を粧いながらも、確かな光を放っています。また家族との暖かい関係や、日々を有意義に過ごされている暮らしぶりが伝わってきます。好きな句は「忘れ物です赤ちゃんの春帽子」「保育器はあかるき宇宙聖五月」「はつなつの注射の犬のキュンと鳴く」「母の日のきりんの二重瞼かな」。こんな優しい句が並びながらも、「瓶に棲む胎児標本ぼたん雪」「ごきぶりでなければ美しい茶色」「福寿草なんて綺麗な胃のかたち」といったはっとさせられるような句もあり、作者の自在な感性に惹かれるばかりです。





09
根雪と記す
1点
これでもか、これでもか、というほどの実感の強い作品の数々に圧倒されます。そして「牛」「牛」「牛」と。。私はこれまで牛に携わった経験はありませんが、その労働の厳しさ、また牛の愛しさや尊さを、こうまでありありと共感させてくれるのは、作者の力量に他なりません。現場に立ったものでしか詠む事のできない世界、そして迸るような生の輝きを見事に表現されています。好きな句は「牛糞を吸うて汚れぬ夏の蝶」「牛の息ふしゆうふしゆうと白く伸ぶ」「待春や乳飲む牛は眼を張って」。特に最期の待春の句は胸にぐいぐい迫ってきました。この句で決まった、という感さえあります。「眼を張る」という言葉がとにかく効いています。眼を精一杯見開いて、一心に乳を飲む子牛のなんと愛おしい事でしょう。











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